WEBラジオ『レキバク!』第24回【越後寺泊の勤皇志士・本間精一郎を語る】

WEBラジオ『レキバク!』第24回【越後寺泊の勤皇志士・本間精一郎を語る】

現在の新潟県寺泊出身、勤皇の志士・本間精一郎。第24回は「本間さんと言えばこの人!」という共通の知人、漫画家のまつおさんをスペシャルゲストにお迎えし、熱いトークをお届け。岡田以蔵に暗殺された本間さん像に迫ります。

今回はゲストをお迎え!

――さてさて今回は文久2年シリーズのひとつとして本間精一郎さんについてトークしたいと思います。ということで幕末好きで中でも「本間さん」といえばこの人という方をお呼びいたしました!大河ドラマ『龍馬伝』からお付き合いがあります樹咲と楠本の共通の友人である松尾さんにお越しいただいております!

よろしくお願いします!

まずは自己紹介お願いします。普段どんな仕事をされているでしょうか。

はい、松尾と申します。普段はフリーランスの漫画家をやっています。企業さんの広告マンガ、ビジネスマンガを中心に仕事をしております。

――もう10年以上の付き合いになりますね。今日は本間さんについてたっぷり語っていただきたいと思います宜しくお願いします。

よろしくお願いしまーす!

本間精一郎の活動、生涯

――早速いろいろ松尾さんに本間さんのことをご紹介いただき、我ら聞き役に回りたいと思います。まずは本間さんがどのような活動をされた方か是非ご紹介ください。

はいありがとうございます、たっぷり語らせていただきます。
本間精一郎さんっていうのは幕末の天保5年に新潟県の寺泊、今の長岡市で生まれました。生家は「かくほん」という酢・醤油を作っている商家で生まれましてちょっとお金持ちのところに生まれました。そこで嘉永6年、黒船が来た年に江戸に出てそこで川路聖謨という幕臣の中小姓になります。

安政5年安政の大獄があったときに川路様が左遷され無職となりまして、ここから志士活動を始めましていろんな志士たちと交流を深めましたところ、文久二年閏8月に京都の木屋町で土佐の岡田以蔵、薩摩の田中新兵衛に暗殺され命を落としました。ざっくり言うとこんな感じの方なんですけれども、本間精一郎っていう人に関していろんな人に私「本間精一郎」が好きなんですって言うと「何をした人?」って言われるんですけど、特に何もしてないんですが。

本間精一郎と出会った(かも)人々

こういう風な人生を送ってきた方なんですけれども、この中で出会ったことがあるだろうという方は確定と予想があるんですが。

まず吉田松陰、東北遊説の時に寺泊に泊まったので多分会っているんじゃないかという私の妄想です。
次に川路聖謨さん。本間さんは江戸で川路さんの中小姓になるんですけれども何故かというと、川路さんは佐渡で奉行をやっていたのでそこで縁があってということだと思います。坂本龍馬、武市半平太、岡田以蔵、久坂玄瑞、吉村虎太郎などなどいろんな方と会っているので幕末の前半には結構顔の広かった人なんだなと思いました。

とにかくいろんなところに顔を出してた人です。

――いろいろな人と飲んで交流が。

そうですね。まず江戸に出て川路様の中小姓になったときなんですが、川路様の屋敷が神田の方にあるんですね、当時龍馬や武市さんが留学している場所と凄く近いので会ってたんじゃないかな会ってたらいいなと妄想がありますけども。
安政の大獄で川路様が蟄居になって無職になって次の年に桜田門外の変があるんですけど、そこで事情聴取を受けたんじゃないかっていう情報もあったりなかったりします。

とにかく無職になってしまったので志士活動をするため京都を拠点にするんですけれども、本当の浪人なので実家の援助を受けていろんな志士たちと交流を持ったりしました。公家の青蓮院さんとか。
文久二年には四国行ったり長州に行ったりしてます。そこで長州だと久坂さんに会った、これは記録が残ってたはずです。土佐に行ったときには吉村虎太郎さんと仲良くなったのですが、そこで武市さんに会おうとしたけど会わなかったという記録が残っています。

京都・襲撃の地と今に残るお店

――今そうそうたる顔ぶれ、名前が出てこられました。そんな本間さんは文久二年閏8月20日に京都で暗殺されましたが、その場所にも行かれたことが。

京都の木屋町の一角なんですがその路地裏で、当時の置屋さんで飲んで帰る途中で襲われたんですけど、その路地裏の軒下に刀傷が今も残っていて。2004年に行ったときには見ることができたんですけど、その後行ったときには封鎖されていけなくなっておりました。
高瀬川がすぐそこに流れていて、胴体が投げ込まれたと。当時はもっと川幅が広かったみたいなんですけど、初めて行った時は石碑を撫でながらしばらくそこに座ってましたね。

――ちょっと重くなりましたけれども…その近くにあるすき焼き屋さんが所縁のある場所だそうですね。

ちょっと歩いた所なんですけど「すき焼き いろは」っていうすき焼き屋さんが先斗町ににありまして、そこが本間さんが行きつけだった「大文字屋」っていうお茶屋さんか置屋さんだったそうなんですね。

そこの2階の欄間が当時のものだということで見にいきまして、非常に感慨深かったですね。店員さんも「ああ本間さんの」みたいな感じで。新潟県人会がそこでたまに行われるみたいな話も聞けましたし女将さんが給仕してくれるんですよ。美味しかったんですよ、普通に食べに行きたいですね。ほんと色々落ち着いたらもう1回いきたいです。

写真提供:まつおさん

◇すきやきいろは http://www.sukiyaki-iroha.com/

まつおさん自身が思う本間精一郎像

――松尾さんご自身は本間さんはどういう方、性格とかどんな方だったと思われてますか?

そうですね。いろんな作品、映像作品とかゲームとかではとにかく「でしゃばりだった」とか「口だけだった」みたいな書かれ方をしてますけれども、私としては暗殺されるほど目立つってのは相当ですからカリスマがあったんでしょうね。

本間さんは多分二段階あって、川路聖謨様のところにいたところまではすっごい真面目で好青年。川路様が失脚して志士になってからはそこにある程度のしたたかさというか鬼気迫る勢いみたいなものが生まれて、カリスマで志士たちを惹きつけるような迫力を持った方になったと思っています。
なので本間さんには二種類の本間さん像があると思っています。

――暗殺される対象になるというのは、いろんな人にも会えるし力があった人じゃないかなと思いますね。

そうですね、まあコネはあったと思うんですよ川路様のところに、幕臣に仕えていたってこともあるし。あとは公家、青蓮院宮とか取り入れるくらいっていう描写もありますし。

あとさっき言い忘れたんですけど実は清河八郎とも仲が良かったんですね。清河さんと仲がいいって相当いい性格じゃないですか、そこら辺の繋がりはあると思うんですけど。私清河さんは好きですよ、生家を見に山形まで行きましたから。清河さんのことはとても好きです。

(本間さんは)頭も良かったし、おしゃれだったし声も良い多分顔も良かったしすべてにおいて多分パーフェクトだったと思います。それでブイブイ言わせてたんだと、なので超目立ってたと思うんですよ。そしたらね目障りじゃないんですか。志士時代の本間さんは生き急いでいるなあっていう感じはしてますが「一旗あげよう」とか「男なら」とか「日本のために」とかじゃなくて、すぐやらなきゃいけないことがあって、形になる何か成果ををすぐあげなきゃいけないからめちゃくちゃ急いで自分の持てる全てを100%出していったような気がしますね。

――川路さんの失脚を見て一層。

むしろそれだと思いますね。川路聖謨様が失脚したことで自分が無職になったんですけど、安政の大獄で吉田松陰が亡くなったじゃないですか。だからいつか川路さんが死ぬかも殺されるかもしれないと本人は思ったかも知れないんですよ。しかも幕臣なのに。だから今すぐに何か、攘夷でもなんでもいいから何か形を残して川路さんを助けなきゃいけないと本人は思ったかもしれない。

何故そこまでするかっていうと、本間さんのプロフィールここで改めて言うんですけれども。
本間さんのお名前なんですが本間精一郎正高、字(あざな)は至誠(しせい)、号は不自欺斎(ふじさい)。“ふじきさい”は「自分を欺かず」と書くんです。至誠っていうのは松陰先生の至誠なんです。字に至誠をつけて号を不自欺斎としている本間さんが松陰先生に会ってない訳がないと。至誠の人は恩を忘れないじゃないですか。川路聖謨様に恩を返したいと思うのは当然じゃないですか。いつ死ぬかもわかんない。なので何でそんなに急いているのかなと思うのは、川路様の為なんじゃないかなって今は思っているんですけれども。

結局やることなすこと武市半平太のやりたいこと全部取っちゃったので殺されたんじゃないかなという風に思います。
私武市さんも大好きなんですけども、以蔵さんも土佐もみんな大好きなんですけれども、そこでなんで武市さんが本間さんを殺したのか――ああここから妄想モードなんですが、土佐に土産に遊説した時にどうして武市さんだけが本間さんに会わなかったのかっていうのがすっごい引っかかってるんですよ。しかも吉村虎太郎の口利きなのに拒否してるっておかしいじゃないですか。武市さんですよ?なんで会わなかったのかって思うと「嫌いだったから」だと思うんですよ。知っちゃったんですよ本間さんのこと。
じゃあどこで知ったのかって言ったら、どんどん遡って江戸遊学時代に江戸で本間さんと武市さんは会ってましたね。そこで何かがあったんですよ、それは私には分かりませんけど…!きっとそこで本間さんと武市さんは仲が悪くなったんでしょうね。本間さんが土佐遊説した後に龍馬はすぐ脱藩してるんですよね。そこでいろいろという人がいっぱいいますけれどもどうなんでしょうか、何がいい資料が出てきたらいいなって思います。

寺泊は天領、長岡藩ではないのです

――ちなみにここで現在の新潟県ということは、本間さんは長岡藩だったのかという話になりました。

違うんですよ長岡藩じゃないんですよ。寺泊って天領なんです幕府直轄地なんですよ。

――河井継之助さんとは特に繋がりなかった?

寺泊と長岡って車で40分くらいの距離なんですね。なので全然関係なくて。私も関わりあったらいいかなって調べたことがあるんですけど何にも関係なくて。むしろ鳥尾小弥太がいたらしいという…ここでちょっと全然関係ない話をするんですが、長州藩の話をします!

大学の授業の一環で現地のフィールドワークに行ったときにそこの漁師のおじさんが「鳥尾小弥太が寺泊に来たときの資料がいっぱいあって、いつか司馬遼太郎先生に渡そうと思ったんだけど亡くなっちゃって」みたいな話をして、そのとき私は岡田以蔵にハマりたての頃だったから鳥尾小弥太を知らなくて「ふーん」とか言ってたんですけど、1年くらい経って「鳥尾小弥太ーーーっ!!!!」てなったんですけど時すでに遅しで…。

長州藩にいるんですよ、これがまた濃いキャラが強い人間なんですが、桂小五郎など長州藩の松下村塾の方々より下の世代の人間なので幕末ではあんまり活躍しないんですけど、ちょっと調べるととんでもない経歴なんです。奇兵隊にいたりとか最終的に茶道の大家になってたりとするんですよ。

――若い頃のほうが修学旅行きっかけでもっと知っておけば!とかありますよね。

新潟県の中越の人たちの修学旅行は会津なんですよ。でもその時白虎隊の話とか聞くんですけど、それがつながるのが20年後とかね(笑)。

そもそも本間さんファンになったきっかけは?

大学4年生の春あたりまで岡田以蔵にハマリまして。それまで私は歴史が全然わからない人間でして室町時代と鎌倉時代はどっちが先かもわからかったんですけど、岡田以蔵っていう歴史の人物を知りまして。当時『知ってるつもり』とかでちょっとブームになってた時があるんですよ。そのちょっと後なんですけど、岡田以蔵について知って「ああこの人面白いな」って思って調べたら坂本龍馬の&友達だったと。

坂本龍馬ってなんかをした聞いたことあるけどなんか昔学習漫画を読んだことあるくらいの感じで、調べたら岡田以蔵の暗殺者リストっていうのを見たんですね。すっごい名前がリストですけど。そこにまあいろんな名前が書いてあって、そこに本間精一郎って書いてあって。本間精一郎越後出身で書いてあったので…私も新潟県出身で当時私も本間だったんですよ。

――おお~。

同じ出身で同じ名字っていうことですごい興味を持ってちょっと調べたら出るわ出るわ。なにこの萌えの塊みたいな人!っていうかあれもこれもでこの人脈の広さというか、あっちにもいるしこっちにもいるし…っていうことでちょっとハマってしまいましてね。

ちなみに私は本間さんの子孫でもなんでもなくて、新潟県と山形県には本間姓がすごいいっぱいいるんで何の関係もないですが、なんか関係あったらいいなぁと思うんですけど残念ながらたぶん関係ないです(笑)。

本間さんに関する活動でやっていきたいこと

――本間さんについての活動や今後やっていきたいことなど教えてください。

そうですね。簡単に言うと本間さんの漫画を描いて入って本にして新潟県の小中学校に配りたいのと、本間さんの生家跡に銅像を建てたい、本間さんを題材にした映画か大河ドラマの原作を書きたい。そのためにいま実績とか信用とか色々積み重ねております。

――おお~!すっごい楽しみですね。

ちなみに生家の取り壊しまでには間に合いませんでした。私に当時二千…一千六百万があったら買えたんですけど、そこまで蓄えがなくて。残念です。

新潟寺泊のオススメ!

――残り時間も少なくなってきました。地元新潟への思いオススメポイントがあったら教えてください。

はい、みんな良いとこ新潟寺泊アメ横ぜひきてください!美味しいよ!浜焼きのお店が年中ずらっと並んでいます。角上魚類の本店もあります。イカとかめっちゃ美味しいしおすすめはやっぱりカニですかね。美味しいですよ~。

――皆さん落ち着いたらぜひ新潟へ!

◇寺泊観光協会 https://www.teradomari-kankou.com/

――という訳でまだまだ話がいっぱい出てきそうな気がしますが時間が来てしまいましたのでこのあたりで。引き続き次回もまつおさんにお越しいただきます!それでは今回本間精一郎さんの回をお届けいたしました。ありがとうございました。

ありがとうございました!

◇漫画家 松尾陽子

新潟県出身の漫画家。広告漫画や企業漫画などを手掛ける。

幅広いターゲットに向くタッチ、「伝える」ために組まれるストーリー作りなど広告やビジネス書にオススメの漫画家さんです。お仕事依頼などは下記ホームページから!(樹咲)

【公式サイト】https://pinetail.jimdofree.com/
【Twitter】https://twitter.com/_m_a_t_s_u_o_
【ブログ】https://ameblo.jp/fuzikisai/

収録日2022年8月15日
使用楽曲著作権:甘茶の音楽工房様、MusMus様、効果音ラボ様、魔王魂様
※収録はリモートで行っております

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